東京・東村山を拠点に、無垢材にこだわった自然素材の家を手がけている工務店「丸清(まるせい)」です。
家づくりにあたり、お客様からよく聞かれるのが「無垢材のフローリングにしたいけど、扱いにくくないですか?」というご質問。床は、住み心地はもちろん部屋の印象を決める大きなポイントの一つです。また、万が一やり直したい…となれば、大掛かりな工事が必要となるのは明らか。絶対に失敗したくないからこそ、悩んでしまいますよね。
すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、弊社は約70年前に丸志木材という木材会社からスタートし、現在も柱や構造材に使う杉やヒノキは自社で植林・加工しています。そんな木のプロフェッショナルだからこその視点で、無垢床のメリットはもちろん、デメリットもあわせてご案内します!
(1)無垢床にはどんな種類があるの?
無垢床とは、天然木を加工したフローリングのこと。天然の木材のため、風合いや香り、木本来の魅力を存分に楽しめるのが魅力です。種類もかなり豊富なので、まずは代表的なものを見ていきましょう。
・杉
やわらかく加工しやすいため、古くから日本の建築物に使用されている代表的な建材です。空気を多く含む構造のため調湿性に優れている点が特徴で、ベタつきがちな夏もサラサラ。断熱性能も期待できます。
また、フローリングに杉材を採用されたお客様からはよく、「素足で歩くのが気持ちよくて、スリッパを履かなくなってしまいました」というお声をいただくほど、肌触りがなめらか。ハイハイする赤ちゃんがいるお宅の床にもおすすめです。弊社の場合、杉材は自社で育てた天竜杉を使用しています。
・ヒノキ
明るい色味と美しい木肌、そしていい香りで知られる人気の木材です。世界最古の木造建築である法隆寺に使用されていることからも明らかなように、耐久性も十分。また、比較的油分が多く、水に強い性質があるので、洗面所や浴室といった水回りの床に使用するのにも向いています。
弊社の場合、杉と同じくヒノキも自社で植林から行っています。現地の見学もできますので、どんな素材か直接見てみたいという方は、気軽にお声掛けください。
・オーク
ブナ科コナラ属の落葉広葉樹の総称です。種類はミズナラ、ホワイトオーク、レッドオークと、大きく分けて3つ。いずれも密度の高い木材のため、材質は硬くて重く、耐久性が高いのが特徴です。ただしそれぞれ色味が異なるので、部屋をどんな雰囲気にしたいのか具体的にイメージしてから選ぶことが大切です。
・パイン
パイン材は、マツ科の木を加工した建材のこと。世界中でとれるため流通量が多く、無垢材の中では比較的安価で取り入れやすいのが利点です。ただし白っぽい「レッドパイン」や赤みのある「カラマツ」、湿気に強い「クロマツ」など、産地や種類によってさまざまな個性があるので要注意。建てたい家のフローリングぶはどんなパイン材がいいのか、工務店やハウスメーカーと相談しながら決めていくといいでしょう。
・タモ(アッシュ)
日本や中国などに分布している、モクセイ科の広葉樹。テニスラケットやスキー板に使用されていることが証明しているように、高い弾力性が特徴の建材です。衝撃の吸収力に優れているため、無垢材の中では傷がつきにくいといえます。また、タモ材のフローリングは、足腰への負担がかかりにくい点も魅力といえるでしょう。
・カバ(バーチ)
カバという名前から想像する通り白樺の仲間で、海外ではバーチとも呼ばれます。明るめの白黄色で、きめが細かく光沢感もあるので上品な雰囲気を演出できます。また、もう一つの特徴が、あまり経年変化が見られないこと。床の色味を明るいままキープしたい、という方は候補の一つに検討されるとよさそうです。
・チーク
木目がきれいで腐食にも強い、東南アジアを中心に分布する落葉高木です。美しさと実用性を兼ね備えていることから、古くから最高級木材の一つとして愛されてきました。チーク材は天然のタールを含んでおり、これがワックスのような役目を果たすため、お手入れが簡単。時間が経つにつれて金褐色へと変化していくのも、楽しみの一つです。
・ウォールナット
クルミ科の広葉樹で、海外では古くから貴族の調度品や高級家具の材料として使われてきました。色味は黒に近い茶色。モダンで、高級感のある雰囲気を演出するのにピッタリの建材です。
・桜
床材として使用されるのは、桜の中でも主に山桜です。材質としてはやや硬め。明るく優しい色味が部屋にやわらかい印象をもたらしてくれます。フローリングの材料を調べていると、「カバザクラ」の名前を目にすることがあるかもしれませんが、そちらは桜ではなくカバ材なのでご注意を。
・メープル
日本ではカエデの呼び名でも知られ、北米に広く分布する落葉樹です。白っぽく、清潔感のある色味で、部屋に爽やかな印象を与えてくれます。体育館やダンススタジオなどのフローリングに使用されることも多く、摩擦に強いのもメリットです。
(2)無垢床のメリット・デメリットは?
木材の代表例を見てきましたが、ここからは無垢床自体のメリットと、デメリットを見ていきましょう。
メリット
・優れた調湿効果で健やかに暮らせる!
薄くスライスした木材を表面だけに貼った合板のフローリングと違い、無垢床のよさは呼吸しているということ。そのため、ジメジメとした夏場は空気中の湿度を吸収し、乾燥しがちな冬場は抱えている水分を放出。部屋の環境を一定に保とうと調整してくれるおかげで、一年中快適で健康的に過ごせるのです。
お客様からは、「夏に素足で歩いてもベタベタしなくて驚いた」というお声をよくいただきます。その感覚は、ぜひ一度、丸清のモデルハウスでお確かめください。
・断熱性がある
例えば杉やヒノキなど、繊維層に空気を含んでいる木材は特に、優れた断熱性があります。冬場、無垢材のフローリングの上を裸足で歩いても合板のフローリングのような冷たさを感じないのはこのためです。
・リラックスして過ごせる
近年、世界中の様々な研究で、木材の香りや感触には人間の心身をリラックスさせる効果があるということが証明されつつあります。無垢材のフローリングにすることで、自宅にいながらまるで森林浴をしているかのようにリラックスして過ごせるはずです。
・経年美を楽しめる
木材の種類にもよりますが、多くは時間とともに色味が変化していきます。合板のフローリングは、使い始めが一番美しいですが、無垢材はその時々でさまざまな表情を見せてくれることが魅力。経年劣化ではなく、経年美を味わえます。
デメリット
・反りや膨張、歪みが起こる可能性も
メリットの「優れた調湿効果」の部分でも書かせていただきました通り、無垢のフローリングは絶えず呼吸しています。そのため、反りや膨張、歪みはどうしても発生します。ただし、その度合いはきちんと施工前の下処理がなされているか、知識のある大工が施工しているかでかなり変わってきます。無垢材のフローリングにしたいという方は、天然の木材を正しく扱える工務店やハウスメーカーであるかを、きちんと確認することが大切です。
・無垢材のフローリングは虫を呼ぶ⁉︎
「無垢材のフローリングはゴキブリが出やすい」という言われることがあるようです。
これは前述のデメリット「反りや膨張、歪みが起こる」ことで床に隙間ができ、そこに食べこぼしたお菓子のカスなどが詰まって、ゴキブリなどの害虫が現れる原因になると言われているため。ただし前述の通り、反りや膨張の度合いは“正しく施工されているか”でも変わってきます。また、根本的な対策としてヒノキなど防虫効果のある木材もありますので、まずはご相談ください。
・コストがかかる
どの木材を選ぶかでも大きく変わってきますが、合板のフローリングと比較すると、費用はお高めです。
ただ、丸清では使用する杉やヒノキを植林から加工まで自社で一貫して行なっているため、コストを大きく削減することが可能です。費用について気になる方には詳細をご案内させていただきますので、まずはご相談ください。
・こたつやホットカーペットは使用NG
天然の木材は熱で変形や割れ、歪みを起こしやすいため、使用をおすすめしていません。弊社では、冬場にこたつやホットカーペットを使わなくても暖かさをキープできる施工をご提案させていただいていますので、ご安心ください。
・無垢材ならではのお手入れが必要
「無垢材はお手入れが大変なのでは?」と、よく聞かれます。
正確にお答えするなら「みなさんが想像しているよりも、おそらく簡単です。ただし、無垢材のフローリングならではのお手入れ法でケアする必要があります」でしょうか。
では、どんな掃除方法が必要なのか、見ていきましょう。
(3)具体的なお手入れ方法は?
日々のお手入れは掃除機やほうきで
日常的なお掃除は掃除機やほうきがけでOK。ロボット掃除機も問題ありません。つまり日々のお掃除は、無垢、合板のフローリングともに違いはないということです。
※ロボット掃除機は問題ない、という記述をあちこちで見かけました。念のため、丸清さまの見解を確認していただけたらと思います。
週に1度、モップで乾拭き!
床用のモップや、クロスなどで週に1〜2回程度、乾拭きをするのがおすすめです。ここで大事なのが、“乾いたもので行う”ということ。薬剤が染み込ませてあるお掃除シートなどは使えません。それでも、木目に沿って行なっていただければ十分きれいになりますよ。
1〜3ヶ月に1度は水拭きを
よく無垢材は水に弱いと言われますが、水拭きがNGというわけではなりません。固く絞ったクロスで木目に沿って水拭きをした後、サッと乾拭きをすればOK。掃除後は、換気をよくしてしっかりと乾かしましょう。
大事なのは、半年に一度のワックスがけ!
半年に一度、天然ワックスでのメンテナンスがおすすめです。そうすることで撥水・耐水・防水性が高まるのはもちろん、汚れもつきにくくなります。
もしも凹みや傷ができてしまったら…
多少の凹みや傷であれば、その上に濡れ雑巾をそっとかけて一晩おいたり、濡れ雑巾の上からアイロンをあてれば元に戻る場合があります。これは自然治癒力を備えた無垢材のフローリングだからこそ。簡単にリペアできる方法がある、ということを知っているだけでも心強いのではないでしょうか。
無垢材は水に弱いので、お掃除の際にいくつか注意が必要なのは確かです。でも、合板のフローリングと比べてケア方法に大きな違いはない、ということがわかっていただけたのではないかと思います。弊社では、お引き渡しの際にフローリングの素材ごとの具体的なケア方法を詳しく説明させていただいておりますので、ご安心ください。
(4)10年後、後悔しないためのポイント
後になって「やめておけばよかった…」とならないためにも、採用前にチェックしておきたい3つのポイントをご案内します。
・生活環境や習慣を振り返ってみる
冒頭の「無垢材にはどんな種類があるの?」でもご紹介しましたが、無垢材といってもその種類は豊富。特性もさまざまです。
「高齢で、足腰の弱い両親と同居したい」
→身体により負担がかかりにくい、やわらかい木材
「育ち盛りでわんぱくなお子さんがいる」「室内でペットを飼いたい」
→硬めで傷がつきにくい木材
「自宅で料理教室をやりたい」
→水に強い木材
といった具合に、お客様の家にどんな無垢材が適当なのかは、生活環境や習慣の側面から考えることも大切になります。色味については“着色する”という方法もありますので、最初から見た目の好みだけで選ばないようにするといいでしょう。
それぞれの木材がどう変化していくかを知る
メリットで「経年美を楽しめる」と書きましたが、それは年月とともに部屋の雰囲気が変化していくということでもあります。末長く愛着が持てる家にするためにも、気に入った木材がどんな色味や風合いに変化していくのかまで理解した上で選択することが大切です。
自分にとってのメリットを明確にする
前述のメリット・デメリットを見ていただければわかるとおり、実は多くのポイントが表裏一体です。
無垢床は傷がつきやすいといわれるのは、合板のフローリングと比べてやわらかいからです。でも、だからこそ肌へのあたりが心地いい。歪みや反りが起こりやすい側面がありますが、おかげでちょっとした凹みや傷なら修繕できます。
一方で無垢材は経年美を楽しめますが、完成した時の雰囲気をずっとキープしたい人にとっては劣化と感じるかもしれません。
後々後悔しないためにも、無垢床の導入は“自分にとって何がいちばん大事で、実現したいことなのか”をクリアにしたうえで、決めることが大切と言えます。
無垢床の施工事例
床材は、強度の高いリングアを採用しています。
洗面所の床には、水に強いヒノキが人気です。
杉やヒノキをウォールナットのような色味に着色して使用することも可能です。
合板のフローリングと比べて“扱いにくい”と言われがちな無垢材。でも、日頃気をつけなければいけないポイントは、実は「汚れたり、濡れたりしたらすぐに拭いて乾かす」ということくらい。想像よりも、簡単だったのではないでしょうか。
丸清では、お客様のご希望に合わせたご提案させていただきますので、無垢のフローリングを検討している方は、ぜひお問い合わせください。