2023/10/27

高気密高断熱の家って何がいいの?その根拠は?

自然素材にこだわった、高性能住宅を手がけている東京・東村山の工務店「丸清(まるせい)」です。
「住み心地のいい家を建てたい!」と思った時に、必ず出てくる重要なポイントが“高気密高断熱”というキーワード。でも、具体的にどんな家のことを指すのでしょうか。
今回は、家を建てる前に知っておきたい、高気密高断熱住宅のメリット・デメリットはもちろん、工法や工務店の選び方までわかりやすく解説します!

(1)高気密高断熱住宅って何?

断熱材を使用して、高い気密性と断熱性を実現した家のことです。
まずは「高気密」と「高断熱」という2つの言葉にわけて説明しましょう。

高気密とは、隙き間が少なく気密性が高いこと。
高断熱とは、断熱効果が高く、熱の移動が起きにくいことを指します。

2つを組み合わせた高気密高断熱の家がどんな状態かというと…
魔法瓶を思い浮かべていただくとわかりやすいかもしれません。

たとえば、やかんで熱々のお湯を沸かしても、そのまま放置しておくとあっという間にお湯がぬるくなってしまいますよね。でも、お湯を魔法瓶に入れたらどうでしょうか? 内びんと外びんの二重構造で熱の移動を防ぎ、蓋で密閉することで気密性も確保しているため、長時間、温かい状態をキープできます。

高気密高断熱の家は冬場も暖かく過ごすことができる

高気密高断熱の家とは、まさに魔法瓶と同じ状態。
室内の空気を断熱と気密の効果で外へ逃げないようにしているので、冬場に暖かいのはもちろん、夏も涼しく快適に過ごせます。

(2)どんなメリットがあるの?

一年中、心地よく過ごせる

高気密高断熱住宅の最大のメリットは、やはり外部の温度の影響を受けにくいことです。雪降る極寒な日も、灼熱の太陽が降り注ぐ日も家の中の環境を一定に保てるので、一年を通して快適。
部屋ごとの温度差も少ないため、急激な温度変化が原因で心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすといわれるヒートショックの予防にもつながります。

また、小さいお子さんがいるご家庭からは「温度管理が楽になった!」「子供がよく寝るようになった」といったお声をよくいただきます。

光熱費が節約できる

“室内の温度を逃さない” 高気密高断熱な家は、エアコンの効きがいい住宅ということでもあります。一度適温にした室内の空気を長時間キープできるので、エアコンの稼働も最小限に。年間の光熱費も抑えられます。

また、光熱費が抑えられるということはCO2をはじめとした温室効果ガスの排出量削減にもつながるということ。高気密高断熱住宅は、地球に優しい家でもあるのです。

防音性能が高い

高気密高断熱住宅は隙き間が少ないため、室内の音が外に漏れづらく、外部からの音の侵入も抑えられます。

小さいお子さんがいて近隣への影響が気になるという方はもちろん、道路に面した場所や繁華街近くに家を建てたいという方も快適な環境を手に入れられます。

カビやダニを抑えて家にも人にも優しい

気密性と断熱性の高い住宅は、外気の温度を断熱するため室内の結露を防ぐことができます。
結露はカビやダニの発生源で、家にとっても人の健康にとっても大敵! 
もしもカビを放置すれば木材や断熱材を腐らせ、住宅を傷めてしまう事態にもなりかねません。また、カビやダニはぜんそくやアトピー人の原因の一つともいわれ、健康に大きな影響を及ぼすことはよく知られている通り。
しかし、高気密高断熱住宅はどちらの元凶でもある結露自体を抑えられるので、結果的に家を長持ちさせられ、健康被害のリスクも抑えられます。

(3)どんなデメリットがあるの?

壁内に結露が起こる可能性がある

高気密高断熱住宅は室内に結露が起こるリスクを減らせますが、壁内に結露が起こることはあります。結露はカビの原因となり、家の持ちにも大きく影響します。
ただ、壁内に防湿層や通気層を設置するなど対策方法があるので、きちんと知識のある工務店が施工すれば問題はありません。

設置できる暖房器具に制限がある

一酸化炭素の発生リスクのある石油ストーブは、使用を控えるのが懸命です。高気密高断熱の家には24時間換気システムが導入されていますが、石油ストーブの使用を想定したものではありません。そのため、万が一、空気の入れ替えを怠れば重大な事故を引き起こしてしまう可能性も。
「石油ストーブを使えないなら、寒いのでは…」と心配になる方もいるかもしれませんが、もともと高気密高断熱住宅とは、エアコンだけで部屋全体が暖かくなるように設計された家のこと。住宅性能に見合ったエアコンを設置していれば問題ありません。

これまで、弊社が手がけてきたお客様からは「朝、数時間エアコンを付けただけで、夜までずっと暖かかった」というお声もたくさんいただいています。
まずは弊社のモデルハウスにお越しいただき、その効果を実感していただくのがおすすめです。

通常よりも建設費用がかかるケースが多い

建築にあたり綿密な設計が必要なこと、また断熱効果や気密性能を高めるための建築資材を使う必要があるなど、通常の住宅を建てるのに比べると初期費用が高くなるケースが多いのは確かです。

ただ、高気密高断熱住宅は、エアコン代をはじめ建築後のランニングコストが抑えられるため、長い目で見て考えることが重要です。

(4)断熱材にはどんな素材があるの?

大きくわけて、「無機繊維系」「発泡プラスチック系」「天然素材系」「木質繊維系」の4種類です。

無機繊維系

「グラスウール」や「ロックウール」と呼ばれる断熱材がこの種類に含まれます。
価格は比較的手頃で、グラスウールはガラス繊維、ロックウールは鉱物を原料としているため燃えにくく、害虫にも強い点がメリット。
その一方で、湿気に弱いというデメリットがあります。

発泡プラスチック系

代表的なものは、ビーズ状にしたポリスチレン樹脂を発泡させた「ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)」や、板状にした「押出法ポリスチレンフォーム(XPS)」があげられます。
いずれも水や湿気に強く、軽量なのが特徴ですが、熱に弱いというデメリットも。

天然素材系

天然の羊毛を原料とした「ウールブレス」と、ワインにも使用されるコルク樫を加工した「炭化コルク」の2種類です。断熱性能はもちろんのこと、いずれも天然の素材だけに調湿性能に優れていて、カビに強い点も大きな特徴。
環境に優しく魅力的な素材ですが、価格は少々割高です。

木質繊維系

丸清でも採用しているのが、新聞紙や段ボールなど、古紙をリサイクルした環境にも人にもやさしい木質繊維系断熱材が「セルローズファイバー」です。
高い気密性が確保できるのはもちろん、カビや湿気にも強く、防火性能や害虫予防効果も得られるなど、メリットの多い素材です。
やわらかくふわふわした素材のため、時間が経つにつれて沈んでしまうというデメリットがありましたが、丸清では麻を加えることで沈殿化を克服した耐久性の高いセルローズファイバーを採用しています。

(5)どんな工法があるの?

「外断熱工法」と「内断熱工法」の2種類です。違いをさっそく見ていきましょう。

内断熱工法

柱と柱の間や天井裏、床下などに断熱材を充填することで、熱の移動を防ぐ工法のことを指します。コストが安く、施工もしやすいため、日本の住宅の断熱施工は内断熱工法が主流です。
デメリットは施工が悪いと結露が起きやすく、気密性も落ちてしまうこと。

外断熱工法

住宅全体をすっぽりと断熱材で包み込む工法のことです。柱はもちろん、床や屋根も断熱材で覆うため熱を逃がしにくく、より高い気密性を確保。結露も発生しにくいため、カビやダニの発生も抑えられます。
デメリットは施工費が内断熱工法に比べて割高であること。

最近は、外側と壁内の両方に断熱材を仕込む「ダブル断熱工法」呼ばれる、両者のいいとこ取りをした選択肢も一般的になりつつあります。

ただ、いずれの工法を選んだとしても一番大事なのは工務店選び。構造や素材を理解し、正しい施工ができていなければ何の意味もありません。
では、依頼先はどうやって見極めればいいのでしょうか?

(6)依頼先はどうやって選ぶ?

工務店やメーカーのQ値、UA値の平均値を確認する

Q値とは住宅の断熱性能を数値化したもの。また、UA値とは室内の熱がどのくらい外へ逃げやすいかを数値化したものになり、いずれも低いほど断熱性能が高いということになります。
HPなどで数値を公式に発表しているかどうか、まずは確認してみましょう。

気密測定を実施しているかを確認する

どんなに丁寧に材料を選び、工法にもこだわったとしても、正しく施工できていなければ意味がないというのは前述の通り。

そして、自分が建てた家がきちんと高気密な家になっているかを知る手段の一つが気密性能を数字で表す「気密測定」です。Q値、UA値と同様に、C値も低いほど気密性が高いことの証明になります。

検討している工務店やメーカーに気密測定を行ってもらえるか聞くのはもちろん、できれば手がけている住宅すべてで気密測定を実施しているかどうかも、確認してみるといいでしょう。依頼されて初めて測定するのではなく、“常に実施している”というのは信頼の証です。

丸清では気密測定を実施し、施主様に開示しておりますので、安心してご依頼ください!